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AIG

Projects

HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.

あらき整形外科医院

フィーレンディールとPC梁の吊り床構造によるDouble Decker構造
  • RC RC

over view & Goal

このプロジェクトの初期段階で、意匠的なコンセプトとして建築に表現されていたのは、長手方向のレイヤー感でした。長手方向正面から見ると、構造的な印象は普通のRC造ですが、短手方向では内部の領域性が外壁まで表れたレイヤーが構成されています。 平面形状は14.0m×58.5mで長手方向の最大スパンは24.0mの空間が2つあり、構造的な合理性を考えると、短手方向をメインストラクチャーとするのが常識的です。しかし、このレイヤーに意匠的な表現+αで構造的な役割を与え、24mの大空間を連続梁で構築するという非常識さがこのプロジェクトの面白さです。まさに、2スパンの吊り橋を作るような構造となっています。 構造計画/設計のテーマとして、意匠的なレイヤー感を活かした、①PCキール梁による吊り床構造、②外周部フィーレンデール梁によるロングスパンの実現などを意識して設計を行いました。全体的な構造計画の意図として、ブラジルの「サンパウロ美術館」のような構造計画に対震性を付加し、成立させています。

Idea

①1Fのリハビリ室を無柱大空間とするため、建物中央部の屋根面にデザインされた壁をPCキール梁として計画しています。RFのPCキール梁から2FスラブをSteel PLで吊ることで、1Fに鉛直部材を配置する必要がなくなります。24mものロングスパンで2層分を支持する部材となるため、長期応力がクリティカルとなるので、モーメントをキャンセルするようにPCをアクティブに利用することで、建築デザイン上のレイヤーの必要な寸法である梁成1900mmのままで実現しています。意匠的な内部空間の構成から、2階の規則性を逆手に取り、1階をフレキシブルに計画できるようにすることで、構造的な非常識さにより空間的な合理性を生んでいます。 ②建築の機能として、フロアを基準に1Fにリハビリ室、待合ホール、処置・診療室、2F病室と分離されているため、その規則的な空間性による開口部を活かしたフィーレンディール梁とすることで、1階の開口部の自由度を向上させることに意図しています。規則的な開口配置は、フィーレンディール効果を効率よく発揮するうえで、構造的なメリットとなります。フィーレンディール梁の端部の応力が大きくなる箇所については、壁の縦方向せん断力に対応するため、壁を斜めに横断するように(力の流れに従順に)鉄筋を配置し、断面の最大効率化を図りました。①と②両方に言えることですが、対震要素として必要な耐力壁と柱をPCキール梁とフィーレンディール梁の端部に積極的に配置しメガストラクチャーのように機能させ、端部の固定度を上げて、モーメントを吊り上げることで、最大モーメントの低減を図ってます。 階層で分けられた空間の特徴をそのまま構造計画として表現しています。 構造的な自由度を追求したこのプロジェクトは、施工的には普通のRC造と変わわりなく特別難易度の高いものではありません。標準的な施工で実現可能であり、ちょっとした視点の変化によって、プロジェクトの個性を活かした構造計画です(鶴田 直哉)

data

所在地
熊本県八代市
用途
クリニック
プロジェクト期間(開始)
2015.10
プロジェクト期間(竣工)
2018.10
規模
地上2階

Credit

クライアント
あらき整形外科医院
建築設計
株式会社松山建築設計室
立役者(外部)
森田建設株式会社(ゼネコン)
立役者(AIG)
安藤 耕作
写真家
Photo by Toshihisa Ishii