狛江メディカルビルディング
- Year
- 2022
- Place
- 東京都狛江市
- Texture
- STEEL
HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.
ニセコエリアでELEVATIONというコンドミニアムの一団開発があり、この建物はインドネシアのチェンさんという方がクライアントで、Design Architectがインドネシアのブティさん(チェンさんの友人)、Local Architectに建築家の大田さん、開発コンサルタントにTAIGAのキースさんと構造設計がAIGという布陣で作った建物です。計画の初期からチェンさん、ブティさん、キースさん、大田さん、安藤の5人で顔を突き合わせてMTGを重ねていきました。建物は、地下1階がRC造、1階・2階がSteel造の立面ハイブリッドです。 地盤の高低差は多少ありますが、ブティさんが自国インドネシアでの建築コストのイメージで、RC造よりSteel造が高いと感じていて、よりプライベートな空間はRC造、景観/気候を楽しむ開放的な空間はSteel造という意味付けを当初から主張していました。 日本では、モノづくりが成熟しているため材料より手間が高いと判断することが多いので、サラブレッドを目指した方がコスト的に好ましいですが、1階が建築的地下扱いということもあり、200㎡以下のハイブリッドなので手続き的にも煩雑にならないため、面白いと感じてそのまま採用しました。 ニセコにはたくさんAIGが設計した建物がありますが、このELEVATIONエリアでは全15棟の内、AIGが手掛けた建築が3棟あります。 1つ目はこのインドネシアのブティさん&大田さんと協働、2つ目は香港の建築家とインテリアデザイナー&遠藤さんと協働、3つ目が遠藤さん自身の設計といったように、この設計者、施工者が異なる建物の密集度はいまだかつて経験がありません。 この建物の構造計画/設計ゴールは、①立面ハイブリッド(混構造)とその体験へのサポート、②多雪地域の中の軽快さ、③ブティさんとの掛け合いを意識しながら設計を行いました。
構造計画/設計のテーマに即して、AIGのアイディアを挙げると、 ①この建物では上層にいくにつれてスラブの跳ね出し割合が多い点がポイントです。周りの建物に比べ、1mほど高い敷地に位置しているため2階から望む羊蹄山は開放的な窓と相まって、心地のよい空間であることと関係しています。多雪地域の中でも軽やかさを意識していたため、居室にはデッキスラブ、屋根には木質構造屋根を使用することで軽量化を図りました。 ②屋根は、ニセコ特有の積雪2.3mをSteelメインストラクチャーを木造joistで受け止め、長時間過ごす眺めの良い3階では開けた空間に合う軽快さを追求しSteel造を取り込むことで、1階と基礎をRCで作り2層で基礎と見立てることで、内に向いた空間を生むと同時に、ボリュームのある2階を支える設計としています。建物全体として、メインの応力負担はSteel、応力を単純に読める部分は木質材料とし、適材適所でハイブリッドな架構を意図しました。 ③今回の建築プロセスは、チームとして理想の形を実現できたと感じています。Design Architectのブティさんとの掛け合いの中には、例えば「梁せい800が難しいのなら、400の2丁掛けにするのはどう?」というように、“自分は建築家だから建築家の領域のみ”と枠に留まることなく自国での経験を積極的に取り込もうと尽力してくれました。 プロジェクトの初期段階から立場や国境を超えて、ともにより良い建築を作ることを共有できていることで、お互いが同じパッションで楽しみながらプロセスを踏むことで実現できました。日本の建築業界でも「この方法で作ることが当たり前」ということをそのまま実行するのではなく、その場その場で参加者全員で議論をして、「今一番よい」と思える選択を重ねていく柔軟な向き合い方が大切だと感じました(多 友佳子)