狛江メディカルビルディング
- Year
- 2022
- Place
- 東京都狛江市
- Texture
- STEEL
HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.
瀬戸内海に面する、岡山県鷲羽山下電ホテル敷地内のグランピング施設レストランの屋根です。このプロジェクトはJR西日本が瀬戸内に人を呼び込むためのプロジェクトの一環で、JR西日本の車両などのデザインをしている川西康之さんと協働しました。「屋根面を岡山県産デニムや帆布とするなら、架構は多少ルーズにHP(ハイパーボリック・パラボロイドシェル)で何かできないか」、「HPを左右対称でレイアウトすると鷲に見えないか」、「サポートは鷲の爪のような3つ又、もしくは4つ又がいいのではないか」のようなアイデアとも言えないような会話からアイデアを考え始めました。もう一つの与条件として、計画地への搬入には人力で運べる程度までの制限がありましたが、海面から2mほどの砂浜で美味しい食事ができる体験の提供を目指してアイデアを固めていきました。 前述した川西さんとの他愛もない会話が今回のAIGの構造計画/設計のコアとなっています。 ①左右対称のHP(木質部材の双曲放物面)状屋根 ②レストランの利用者がHP面の多様性を感じられる空間 ③暴風時の抵抗スペースの3つに重点を置いて構造設計を行いました。
AIGとしてのアイデアは、 ①HPの形状を作り出すために、長手方向の梁はSteel梁とし、その梁をガイドにLVL単純梁を並べています。部材は人が手で運べるサイズにして計画地の砂浜まで搬入する。 ②パーゴラはLVLサイズを全て同一の40×200としています。長さも全て5.5mで統一して、長手方向のSteel梁の下に配置することによって、レストランの利用者がHP面をより感じられるようにする。 ③HPを支える4つ又のバンドル柱は傾斜して水平力とスラストに対抗する。軸力が最大となるのは暴風時の荷重の最大時となるため、設計クライテリアとして、屋根の帆布は暴風時の最大瞬間風速30m/sまでとし、それ以上の風が吹く予想がある時はたたむ運営管理とする。クリティカルな30m/s以下の暴風時はカウンターウェイトとして基礎のRCの重さで浮き上がりに抵抗する。極めて稀に発生する風(台風)は天気予報等で概ね予想ができるのに対して地震は予測不可能であるため、外力という意味においては大きな違いがあり、興味深い点でもあります。 パーゴラという小さな構造物ですが、その場所の風景と条件に合ったイメージを形にすることで、よりその場所の魅力を引き出すような施設になったのではないかと感じています(井出 ひろか)