MTAhouse
- Year
- 2021
- Place
- 東京都港区
- Texture
- RC
HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.
千葉県千葉市にある1階がクリニック、2階・3階が共同住宅の建物で、これまでも数多くの物件を一緒に手掛けてきた松山将勝さんと計画したプロジェクトです。1Fのクリニックはもともと別の場所で長年運営されていましたが、施設の老朽化により今回移転開院することとなりました。クリニックの上には土地を有効活用するために賃貸マンションを載せており、マンションをあまり設計しない松山さんとしてもとても珍しいプロジェクトです。クリニックという特性上、構造計画としては松山さんの賃貸マンション部分の明快な十字状の特徴的な廊下のダブルグリッドの田の字プランを活かして、その十字状の構造を一階のクリニックに感じさせないようなダブルデッカー構造としています
この建物の構造計画/設計のテーマは、
①十字状のダブルグリッドの構造システム
②4つの住戸の4つのボリュームの分節表現と構造のあり方
としました
①構造計画の特徴として、賃貸マンション部分の4住宅が界壁で接しない十字状の廊下を有しています。このダブルグリッドを構造的にも利用したダブルデッカー構造として、一階部分は無柱空間を当初は考えていましたが、クリニックという特性上そこまで大きい空間である必要はなく適宜ダブルグリッドをクリニック部分にも落としており、それでも10m×1mの無柱空間をダブルデッカー構造で実現しています。
②一般的な構造計画では、建物の壁面は一つの壁面として計画するのが普通であり誰も疑う余地はないのですが、松山さんの構想では廊下で分節された4つの住戸をそれぞれのボリュームで表現するイメージがあったため、構造的には各々が独立して成立している4つのボリュームを床のダイヤフレームで一体化を図るような冗長性の高い構造としています。そのため廊下部分梁などの接続する要素を設けずに、スラブのみというスカッとした構造計画としています。
以上のようなアイディアを形にしましたが、松山さんのマンションは珍しく、松山さんらしい建物になったと思っています。これに懲りずに松山さんが作る高層マンションも安藤的には見てみたい気持ちもあります。異なる用途の積層は単純なラーメン構造とすることが多く、根気強くプラン上の余白を見つけて構造化していく手法は手間がかかりますが、出来上がった時の明快さは格別なものがあり、そのようなことが重要だとだと改めて感じるプロジェクトでした(井出 ひろか)