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AIG

Projects

HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.

狛江メディカルビルディング

2F外周フレームを用いた Vierendeelcantilever構造
  • STEEL STEEL

over view & Goal

小田急線狛江駅から、南東方向に住宅街を抜けた世田谷通り沿いにある医療系テナント専門の2階建てビルです。

敷地形状が不正形の為、建物も敷地形状に合わせた台形の一部を切り欠いた形状をしていて、2階部分が扇形にはね出した特徴的なファサードをしています。

意匠図を見た第一印象としては、医療ビルという堅いイメージと対照的な丸みのある優しい印象のファサードで病院というマイナスイメージを緩和することがテーマなのかなと感じました。構造的にも優しい印象のまま解きたいので、質量感を出さず部材と架構の特性を活かした設計することをテーマとしました。

第一印象から表出した抽象的な構造計画のテーマから、具体的な構造計画/設計にブラッシュアップすると、①構造的合理性という観点から行う経済設計、②Vierendeel 効果を用いた扇形状はね出しの実現などです。

小規模なsteel造でシステマチックな架構ではないので、各部材の応力状態から精査し、部材のオーダーを決めていきました。

Idea

構造計画/設計のテーマから、具体的なアイデアを挙げると、

①低層のSteel造では一般的に、地震力に対してブレースで抵抗した方が、役割が明確に分けられ、応力伝達の効率がいい軸力で抵抗するため、コストパフォーマンスがよいです。この建物は低層で、意匠のプラン上、コア部分と隣地側にブレースを配置しやすいプランでした。しかし、世田谷通りに面する側は、大きく開口部を設けているため、スパンが6mを超えており、設計ルート1-2となり、偏心率を収める必要があります。不整形、鉛直構面の配置の制約という条件の中で、引張ブレースと圧縮ブレースを併用し、剛性のバランスを繊細に調整しました。偏心率の調整により、ねじり挙動による付加的な応力も小さく、BOX柱を利用せず、H鋼の異方向性を利用して、H-125×125×6.5×9としています。強軸断面性能がさほど変わらない□-125×125×9と比較すると、約75%の鋼材量となっています。

建物全体では、地震時上部階はAve.6.2kN/㎡で、鋼材量は70kg/㎡と軽量化を図ることができました。

②扇形状の2.4mはね出したファサードは、2方向キャンチレバーで、2階の内部空間は貸しテナントのため、柱を落とすことがテナントの競争力を削ぐことになるので、2層分の荷重を2F梁で支えることになります。しかし、クリニックなので、設備が多く梁成を上げて対応する方法は現実的ではありません。正攻法では構造計画としては詰め切れないため、外周部の等間隔に配置された開口部を利用し、開口部のリズムを活かしたVierendeel梁で成立させました。扇形状に面外に曲率のあるVierendeel梁は、垂れさがりながら、ねじり変形も併発しますが、スラブとの合成効果により変形を抑止しています。Vierendeelの2階建て梁によって、片持ち特有の振動も抑制できています。

 

この建物では、部材の役割を明確にするとともに、コンクリートとSteelを複合的に活用し、Steelの自由度の高い境界条件を操作することで、合理的な解法での設計を試みましたが、ひとつ失敗を挙げると、柱脚も柱梁接合部もピン接合とした部分が多く、建て方時に現場での安定性の確保で苦労を掛けてしまったことです。この建物が建っていく過程で、現場を仕切っていただいた株式会社グロウの西尾さんからこぼれる苦労話は、設計の中で試行錯誤する以上の経験値となった気がしています。現場の人からの複眼的視点を取り込む面白さを今後に活かしていきたいと思います(鶴田 直哉)

data

所在地
東京都狛江市
用途
テナント
プロジェクト期間(開始)
2021.05
プロジェクト期間(竣工)
2022.04
規模
地上2階

Credit

クライアント
株式会社アソシエーション
建築設計
upsetters architects
立役者(外部)
株式会社グロウ
立役者(AIG)
鶴田 直哉
写真家
DAISUKE SHIMA