狛江メディカルビルディング
- Year
- 2022
- Place
- 東京都狛江市
- Texture
- STEEL
HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.
AIGではAlpsGymはシリーズ化されていて、現在、「相模湖プレジャーフォレスト」、「滋賀県ブルーメの丘」、「大阪万博記念公園」、「海の中道海浜公園」が稼働していて、第5弾の「三島スカイウォーク」が施工中です。 このプロジェクトが始まった経緯は、安藤と昔からの知人であるSEアミューズメントの海老原さんから「ドイツに面白いアクティビティーがあるから日本で展開したい」との話をきっかけにスタートしました。このアクティビティはDIN規格のSteel部材で作られていますが、ここが日本で展開するうえで大きな壁で、日本の建築基準法37条で建築物の材料としてはJIS、JAS、大臣認定を受けた材のみに限られています。建築基準法の規定で簡単な抜け道があるような話ではないので、正攻法で国土交通省にドイツのアクティビティーを日本で実現したいという想いを伝える方法を取りました。結果として、JIS規格とDIN規格のsteel部材が適合することを示すガイドラインを作成し、同等の品質であることを設計者で担保して、日本で確認申請を通すことが可能となりました。 このプロジェクトは、ドイツで設計されたアクティビティ製品なので、発見的な話になりますが、①ドイツのEUROCODEと日本の許容応力度設計との思想の相違、②ドイツならではの鉄骨ディテールの新鮮さ、③通常の建築にはないアクティビティとしての体験を売る構造設計という視点で新たに設計に向き合えるものでした。
①DIN規格の材もJIS規格の材もSteel部材の引張強さと降伏点は同等ですが、設計法を比較すると、日本とドイツの設計思想の差が浮き彫りになります。日本では、長期/短期の許容応力度の設定に見えていない安全率が含まれていて、外力による応力を比較するという設計法です。ドイツでは、セイフティファクターという係数で外力を割り増して、降伏強度と比較するという設計法です。一見、先に考慮するか後に考慮するかという違いのように感じますが、降伏点は定められたもので、外力の状態が変化する自然界の法則から行くと、ドイツの設計法は素直なものだという印象を受けました。もちろん、建設されるのは日本なので、許容応力度設計で全部材の安全性を確認しています。 ②このアクティビティ製品は3~4層で構成されていて、各階の中間層に鋼管ブレースが配置されています。この鋼管ブレースの端部の納まりは、鋼管端部につぶしベント加工を施し、プレート形状として高力ボルトで接合しています。日本では、一度鋼管にプレートを溶接し、応力を乗り換えて高力ボルトで接合するが一般的ですが、ドイツでは、ブレース材をそのまま接合部としてしまう工学的なセンスを感じるものでした。 ③普段、構造設計をしている時は、基本的にエンジニアとしての設計行為に価値があり、それを生業にしています。そして、ほとんどの場合、建築は一品生産であり、同じ設計をするということはありません。しかし、AlpsGymシリーズでは、若干、条件の差はありますが、ほとんど同一の設計であり、設計行為に価値を見出すというよりは、SEアミューズメントとAIGで、アクテビティとしての体験を作り出すことに価値を見出しています。様々な人がアクテビティを体験している姿をみて、楽しさや達成感を得るというのは不思議な感覚で、このプロジェクトの面白さでもあります。 AlpsGymシリーズは、現在またいくつかの場所で計画中ですが、この遊具とアトラクションの間のようなアクティビティが増えることは単純に嬉しく、できたものがTVで放映されているのを観ると、建物ができることとは少し異なる楽しさを感じることができます(鶴田 直哉)