盛岡誠桜高校 第3校舎
- Year
- 2016
- Place
- 岩手県盛岡市
- Texture
- PC
HERE WE INTRODUCE THE PROJECTS WE HAVE DONE.
ALL PROJECTS ARE MADE OF IDEAS AND THOUGHTS THAT
EMBODY OUR PHILOSOPHY “IMAGINEERING”.
大阪市中央区高津に建つ地上15階建ての民泊施設で、私達AIGが構造・意匠共に設計を行った建物です。クライアントは株式会社LeTechさんで、同じ設計メンバーで以前5階建ての集合住宅を2棟協働しています。今回は積層タイプのビルディングタイプであり、私達AIGが得意とする現場打ちプレストレストコンクリート造(以下PRC造)で設計を行いました。構造のカタチがファサードのデザインにも活きるようなデザインを模索したプロジェクトです。この建物の構造計画/設計のテーマは、①今回のプログラムに合ったPRC架構の構築(レシプロカル柱、モーメントダイアグラム型テーパー梁)、②転倒モーメント低減のための軽量化、この2点をテーマとして設計を行いました。このテーマはAIGのスタート時に設計したCARETTA SHIBAを純粋進化させた多スパンバージョンで、4本柱の1スパンと多スパンの違いについて検証しながら進めていきました。
構造計画/設計のテーマに則して、AIGのアイデアを挙げると、
①民泊というプログラムで、基準階型で各階2部屋が必要で、収支がプラスとなる必要な部屋数からの積層数と必要面積の確保から、柱の本数とサイズ感をスタディする必要がありました。一般的なマンションだと、真四角の柱がよく見られますが、私達としては空間を圧迫するため選択肢には無く、扁平柱でスタートしました。ただし、扁平柱を一様に並べると、方向性があるので長方形の建物だと、短辺方向の必要な剛性と耐力がクリティカルとなり、柱本数が多く必要となってしまいます。そこで、本数を最小限、内部有効スペースの確保、その両方を取りに行くために考えたアイデアが、扁平柱を風車型に強弱を回転させて配置するレシプロカルな架構の構築でした。このアイデアで、サイズ感をスタディしながら、最適な本数は10本だということが判り、その柱間をテーパー梁でつないでいます。梁は扁平柱の強い方と弱い方に必ず接続するので、当然強い方に接続する側の曲げモーメントが大きくなります。そのモーメントダイアグラムに合わせるように、テーパーの折れ点を調整することで、左右非対称なカタチが浮かび上がってきます。このカタチをファサードにそのまま表出するデザインとしました。今回ファサードでもう一つアクセントとして意識したのが、PRC梁のPC鋼より線端部の緊張端カバーです。これはPRCの建物特有のもので、このカバーを出さずに柱に内蔵することも出来るのですが、PRC造の場合柱と梁の接合部の納まり上、端部を外に貫通させた方が圧倒的に納まり良く、接合部断面も内蔵させるより小さくなるというメリットがあります。いつもこのカバーのデザインも一体的に設計を行っており、これはPRCの勲章のようなもので、ファサードのアクセントにも出来ると考えています。
②毎回塔上比の高い建物で、テーマとなる軽量化を今回も意識して設計を行いました。プレストレスを柱梁に導入することで、経験上80%程度の断面に出来るので、その分躯体重量が小さくなります。先程のモーメントダイアグラム型の梁も、通常の直線の梁に比べて、単純に躯体量が2/3程度なので転倒モーメント低減のための切り札の一枚となっています。以上のようなアイデアをベースにカタチを作った建物で、普通のラーメン構造よりも躯体量が少なく合理性がある反面、テーパーを実現するのには施工側の工夫が必要で、毎回施工者と一緒に作り方を模索しながら進めるのが大変でもありますが、面白くもあると感じています(田邉 俊貴)